第一回目は、日本初のパーソナルスタイリストとして多岐に渡りご活躍されている政近準子さんに、「スタイルがある人」のエッセンスについて聞きました。ファッションを越えたところまでも、多くの方からの相談が後を絶たないという多忙を極める政近さんですが、なぜ「自分というスタイル」をすこやかに保てているのか、その素顔に迫ります。

本当のスタイルがある素敵な人というのは
周囲をもしあわせにすることができるんです。

―― 「スタイルがある人」とは、どういう人でしょうか。

photo201312-5たとえば、今日このサロンに来るまでに、原宿のストリートを通ってきたんですが、田舎者も含めて変わった子が沢山いますよね。彼らは雑誌がこういっているとか、皆がきれいといっているからとかではなくて、自分にとって興味がある「カルチャー」が先にあるんですよね。そういうものがある人は、スタイルがある。それは若くてもそうですし、ある程度年齢を重ねると余計にそうなります。

誰の意志でもない、「自分が」素敵だと思うか、ですね。人によっては、それは音楽につながっているかもしれないし、料理につながっているかもしれないし、世界につながっているかもしれない。誰かが教えてくれるものでも、書いてあるものでもなくて、見つけなきゃいけないものなんです。ただ、その「スタイル」というのは、社会性を無視した自己満足的なファッションとは全く格も意味も違うものです。本当のスタイルがある素敵な人というのは、周囲をもしあわせにすることができるんです。

photo201312-6あとは育ちも大事。何を食べて、どういう風に暮らしてきたか、とか。スタイルがある人間や、ものを新しく考えられる人間というのは、大体が野山とかを駆け巡って蝶々とかを毎日追いかけて育った人間なんです。私はモード学園で28年間講師をやっていますが、トップクラスに名前が出てくる人は皆田舎者。夕日が沈むのを田んぼで見ていた人たち。そういう人は、小さいときから夕日がきれいだな、という価値観があるんです。

逆に、「何時に塾に行かなきゃいけない」とか、自分の意志ではないことをやるように育てられた人間なんて、創造性はゼロですよ。いかに小さいときから、自分の意志で物事を考えて生きてきているかということが、中年なったら余計出てきてしまいます。だから親に押し付けられて、やりたいことを自由にやってこなかった人は、スタイルがつくれないんです。

photo201312-7

―― 大人になってから、スタイルをつくるのは難しいんでしょうか。

大人になってからでも大丈夫ですよ。実際に私がやっている学校では、大人がそういうことから学び直しています。例えば、「明日会社に行かなきゃいけないから、こういう時間の使い方をする」ではなくて、本当にやりたいことに寝ないでやったらどれだけエネルギーが出るのか、ということをやってみると、それがその人のスタイルになるわけです。

結構くだらないことにどれだけ時間を使ったかが大事だったりするんですよ。道草をどれだけしたかということが、スタイルがあるかどうかにつながっていたりします。やらされていることからスタイルなんか絶対に生まれない。自分がいいと思っていないことに時間を使っても、たいしたものは生まれないですからね。

YON-KA 竹井のインタビュー考察

色々なことをしても、自分の興味や好みの軸は実はあまり変わらなくて、すべてがつながっているということが分かってきたので、その範囲を徐々に狭めていって、最終的に「もだえるくらい」素敵な道に絞り込めたら、スタイルが確立するのかな、と思いました。私は小さい頃から好みははっきりとしていて、素敵だと思わないことはやれないという性格だったので、そのアンテナは鋭いほうだとは思うのですが、自分にとって一番難しいのは、「それを突き通せるか」ということです。自分が素敵だと思うことを選択することで、小さい頃だといじめとか、学生時代は校則に従わないために罰則を受けたりとか、社会人になると上司との衝突とか、弊害は絶対に出てくると思うんです。

ただ、政近さんのおっしゃる「社会性を無視した自己満足的なものとは全く違う」という言葉を受け止めると、どういう社会性がある場所に自分の身を置いているか、が重要な気がしました。自分が心から素敵だと思う環境に身を置くことで、そこには無理がなくなるというか、自分の良いと思うものを突き通しても、周りを不快にすることなく、むしろ幸せにできるのかもしれない。その場所を選び取ることと、その場所を作っていくことが、自分のスタイルを確立するための第一歩なのかな、と思えました。

それはここでの働き方もそうですし、住む場所や家族との関わり方など、いろんなところにつながってきますが、「本当のスタイルがある素敵な人というのは、周囲をもしあわせにする」というのは、ひとつのヒントをいただいた気がします。意図的にというよりも、自分が自分らしくいられることでしあわせになり、それが周りの人にも伝わっていく自然なかたちが理想です。